水耕栽培でハーブの育生を楽しむコツと育て方のポイント

水耕栽培は家庭菜園を気軽に室内で楽しめる栽培方法です。土を使わないので、室内を汚したくない方や病害虫の被害にあいたくない方に人気が集まっています。さまざまな種類の植物を育てることができますが、中でも水耕栽培に適しているのがハーブです。特に、良い香りがするハーブは女性を中心に人気があります。水耕栽培は初心者でも簡単に育てられますが、基礎知識をきちんと把握しておかなければなりません。そこで本記事では、ハーブの基礎知識から水耕栽培での育て方・栽培のポイント・必要な道具まで詳しく説明します。

  1. ハーブの基礎知識
  2. ハーブの水耕栽培について
  3. ハーブの水耕栽培法
  4. ハーブの水耕栽培を始める前に
  5. ハーブの水耕栽培にかんしてよくある質問

この記事を読むことで、水耕栽培でハーブを育てるために必要な知識とポイントを知ることができます。気になる方や栽培を始めようと思っている方はぜひチェックしてください。

1.ハーブの基礎知識

上手にハーブを育てるためには、基礎知識を把握しておく必要があります。ハーブの基本情報や利用方法・効果・種類などについて詳しく見ていきましょう。

1-1.ハーブとは

ハーブは海外からやってきた植物で、薬や香料とする草の総称です。ヨーロッパでは伝統的に薬草や料理の香料として使われています。ハーブ=香りがあるものと印象を受けるように、香草とも呼ばれている植物です。ハーブの特徴は香りであり、種類によって香りも異なります。

1-2.利用法と効果について

ハーブの利用法は主に4つが挙げられます。1つ目は、食用としての利用です。おそらく、多くの人が料理に使うことをイメージするでしょう。ひとつまみハーブを料理に加えるだけでも良い香りが漂います。2つ目は、内服薬・外用薬としての利用です。有毒植物のハーブでも少量用いることで薬になる場合もあります。3つ目は、防腐・防臭・防虫作用です。ハーブの独特な香りは害虫を引き寄せない効果を持っているため、野菜や果物と一緒に植えることもあります。また、西洋では古くからハーブを食材の保存に利用していました。そして、4つ目は香りによる鎮静・興奮作用です。香りでリラックス効果が生まれるハーブはアロマオイルなどの芳香剤として人気があります。

1-3.魅力

ハーブの最大の魅力は特徴でもある香りです。庭やベランダにハーブを植えるだけで、周囲は良い香りに包まれることでしょう。また、野菜を育てる場合、害虫が嫌う香りのハーブを一緒に植えると害虫除(よ)けにもなります。また、ハーブの香りの成分を生かすために、小さな袋の中に入れてトイレやお風呂場に置くことも可能です。芳香剤の代わりになり、爽やかな気持ちになるでしょう。さらに、料理のアクセントとしても利用できます。

1-4.一般的な種類

ハーブにはさまざまな種類がありますが、一般的なのは、ミント・バジル・セージ・ローズマリー・ラベンダー・パセリ・カモミール・ジャスミンです。最近、グルメ番組でも取り上げられることが多くなったパクチーもハーブの一種であり、人気がありますよね。ミントやバジルなどは食用ハーブ、カモミールやジャスミンなどは芳香・薬用ハーブに分類されるのです。

2.ハーブの水耕栽培について

ハーブは水耕栽培に適している植物です。水耕栽培のチャレンジを考えている方は、ハーブとの関係性についてもぜひチェックしてみてください。ハーブを水耕栽培するメリットや初心者・上級者それぞれにおすすめしたい種類など詳しく説明します。

2-1.ハーブを水耕栽培するメリット

水耕栽培は養液が入っている水で育てるため、土を使いません。ハーブの水耕栽培はインテリアとして部屋になじみやすいメリットがあります。また、料理などに使うことも可能です。キッチンの一角で育てていけば、すぐ料理に使えるでしょう。

2-2.水耕栽培に向いているハーブとは

水耕栽培に向いているハーブは低木性よりも草本性です。草本性とは、茎が木化せずにある程度まで育つと成長が止まるもので、低木性は根元から多くの枝にわかれ、主幹と枝の区別がはっきりしていません。ローズマリーやラベンダーが低木性、ミントやバジルが草本性となります。水耕栽培は室内で育てることも多いため、草本性のほうが向いているのです。

2-3.初心者におすすめのハーブ

バジル・ミント・レモンバーム・タイムが初心者におすすめです。ハーブとして知られている種類でもあり、気軽に育てることができます。また、どれも料理に使えるハーブです。バジルはイタリアンでおなじみのハーブ、ミントはケーキの上によく乗っていますよね。レモンバームはレモンの香りがしてミントに似た風味を持ったハーブで、タイムはすがすがしい香りでさまざまな料理に合うハーブです。

2-4.上級者におすすめのハーブ

ある程度ハーブの育生に慣れてきたら、上級者向けに挑戦してみましょう。上級者におすすめしたいのが、パクチーです。全体的にハーブは育てやすい植物ですが、パクチーは高温多湿・霜に弱いタイプなので、経験者でも難しいといわれています。しかし、水耕栽培なら天候や季節に左右されないため、霜で傷む心配はありません。

2-5.活用方法

料理のスパイスとして使ったり、ハーブティーを楽しんだりすることができます。夏はハーブティーをアイスで、冬はホットでおいしく飲めるでしょう。香りも良いのでリラックスできます。

3.ハーブの水耕栽培法

それでは、ハーブの水耕栽培法について説明します。水耕栽培に適している時期や栽培のポイントなどを押さえていきましょう。

3-1.おすすめの時期

ハーブの水耕栽培は、種まきと苗から育てるのが一般的です。育生時期は種類によって異なりますが、5~6月ごろがおすすめの時期といえます。苗を植えつける場合は9~10月ごろが良いでしょう。9~10月ごろは病害虫が発生しにくい時期なので初心者に最適です。また、育てるハーブによっても育生時期が異なるため、しっかり確認しておきましょう。パッケージの裏などに適切な時期が記載されていますよ。

3-2.種まきと苗植え方法

基本的な種まきと苗植えの方法について説明します。

<種まき>

  1. イチゴパックやタッパーなどの容器の底に穴をあける
  2. スポンジに切り込みを入れて水で湿らせる
  3. 受け皿に水をため、その上に穴のあいた容器を置く
  4. 容器の中にスポンジを敷き詰め、水がしみこんだら種をばらまく(種をばらまくときは重ならないように要注意)
  5. 毎日水を取り替え、2日~1週間後に発芽する
  6. 葉っぱが2~3枚になったら苗用の容器に植えなおす

<苗植え>

  1. ペットボトルの上から3分の1の部分をカッターで切り取り、飲み口を逆さにして底側にかぶせる
  2. ペットボトルのまわりにアルミホイルを巻いた後、養液を底側に3分の2ほどそそぐ
  3. フェルトを飲み口からペットボトルの底につく程度までたらす
  4. ハイドロボールなどの培地と根をキレイにした苗を植えつける

ただし、初心者が容器をつくるのは難しいところがあるでしょう。そのため、すべての道具がそろっている水耕栽培キットを利用したほうが安心です。詳しくは【4-2.栽培キットについて】で説明します。

3-3.水挿し栽培

繁殖力が強いハーブは水挿しで育てることができます。水挿しとは、株から切り取った茎で育てる方法です。まず、茎を先端から7~10センチメートルのところで斜めにカットしてください。先端についている葉を3分の1ほど残して、後はすべて取りのぞきましょう。そして、葉のついていない部分を水が入っているコップにひたします。直射日光の当たらない場所に置き、毎日水替えをしましょう。そうすれば、1週間ほどで発芽し、液体肥料を混ぜた水で育てます。

3-4.栽培のコツ

植物は光合成をするために光が必要です。太陽の光が当たる場所に移動しなければなりません。日当たりの悪い場所で育てる場合は、植物育成ライトを使うのも1つの方法です。また、肥料はハイポニカなどの液体肥料を薄めて使います。状態を見て元気がないときは液体肥料を追加していきましょう。できるだけ、ハーブの状態を毎日チェックしてください。害虫がついている場合は、ピンセットなどですぐに取りのぞきましょう。毎日水替えをしなければ根腐れを起こしてしまうので要注意です。

3-5.注意点

根っこの部分が水につかりすぎてしまうと根腐れを起こしてしまいます。水替えをしないのもNGですが、ひたしすぎるのもいけません。根っこの先端だけ水につかるように調節しましょう。

4.ハーブの水耕栽培を始める前に

ハーブの水耕栽培を始める前に、そろえなければならない道具や栽培キットなどについて知る必要があります。必要なものを準備しなければ栽培できませんよ。

4-1.そろえる道具について

水耕栽培に必要な道具は以下のとおりです。

  • ペットボトルやイチゴパックなどの容器
  • 液体肥料
  • 培地
  • 酸素を送る道具
  • 植物の苗と種
  • 植物育成ライト(太陽光がない場合)

培地は植物を支えるために必要なアイテムです。自分でつくる場合は、ウレタン発泡樹脂やロックウールを使います。また、植物が十分に育つためには太陽光と同じくらいに酸素が必要です。酸素を根っこに送るための道具を用意しておいたほうが育てやすくなるでしょう。

4-2.栽培キットについて

水耕栽培に必要な道具をそろえるのが面倒な方や初心者は、必要なものがすべてそろっている栽培キットがおすすめです。水耕栽培どっとネットで販売している家庭菜園キットは、本体・照明・取扱説明書のセットになっており、水・種・液体肥料を入れて電源をオンにするだけで簡単に栽培できます。気軽に始められる栽培キットなので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

4-3.販売店について

街中の園芸店の中には、水耕栽培キットや必要な道具を扱っているお店もあります。しかし、種類は限られているのがデメリットです。幅広い種類の中から選びたい方はインターネットでの購入をおすすめします。水耕栽培の道具を専門的に扱っているサイトがたくさんあるので、複数のサイトを比較してみてください。

4-4.注意点

購入業者・お店を選ぶときはいくつか注意点があります。「せっかく購入したのにすぐに壊れた」など不良商品を販売しているお店もあるので注意しなければなりません。業者選びの際は、以下のポイントに注目してください。

  • 最新の商品が販売されているか
  • 種類が豊富にそろっているか
  • 安く手に入れられるか
  • 丁寧かつスピーディーな対応か
  • サポートやアフターフォローが整っているか

5.ハーブの水耕栽培にかんしてよくある質問

ハーブの水耕栽培にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。

5-1.繁殖力が強いハーブとは?

ミントはほかの植物を枯らしてしまうほどの繁殖力を持っています。特に、アップルミントは抜いても次々と生えてくるでしょう。繁殖力が強いハーブはいつの間にか増えてしまうケースもあるため、こまめに収穫していかなければなりません。

5-2.水挿しに適している時期とは?

5月~6月、9月~10月が水挿しに最適な時期です。特に、湿度と温度が少しずつ高くなる5月~6月が良いでしょう。1年に1回~2回水挿しをおこない、ハーブを増やしていくといいですよ。

5-3.どのくらいで収穫できるのか?

日当たりの良い場所で育てていけば、早くても1週間で収穫できるようになります。水耕栽培は天候に左右されない室内で育てるため、安定した供給と収穫が可能です。ただし、ハーブによっては1週間以上かかる場合もあります。

5-4.栽培キットはいくらか?

水耕栽培どっとネットで販売している栽培キットの「エアロガーデン」は、19800円です。販売価格に加え送料が数千円必要になるため、合計2万円~となります。インターネットで購入する場合は送料もいくらかきちんと確認しなければなりません。

5-5.カビや藻の発生を防ぐポイントとは?

水耕栽培は水で育てるため、カビや藻が発生する恐れがあります。カビと藻を防ぐためには、水をこまめに取り替えること、直射日光での管理を避けること、容器を清潔にすることの3点が大切です。もし、カビと藻が生えてきた場合はすぐに取りのぞきましょう。

まとめ

いかがでしたか? ハーブは水耕栽培に適している植物です。水耕栽培は土を使わずに水と液体肥料で育てる栽培方法なので、気軽に室内で育てることができます。また、害虫や病気の被害も最小限に抑えることができるのです。初心者でも育てやすい植物ですが、水耕栽培のポイントやハーブの基礎知識を知っておかなければなりません。特に、栽培キットを自分でつくる方は多いですが、初心者はうまくつくることができない可能性があります。いまいちわからない方や手間をかけたくない方は、すべての道具がそろっているキットを購入しましょう。基礎知識を得た上で、芳香剤として、料理のアクセントとしても活用できるハーブをぜひ水耕栽培で育ててみてください。


オリジナル水耕栽培システムの提案も