水耕栽培のコバエ対策が知りたい! コバエを発生させない方法は?

水耕栽培は水と肥料だけを使う栽培方法なので、家庭菜園初心者から注目が集まっています。土を使わないので病害や害虫の被害を最小限に抑えられるメリットがありますが、絶対というわけではありません。常に、根の部分が水に浸かっている状態なので、「コバエ」が発生しやすく不愉快に感じることがあります。実際に、水耕栽培でのコバエで悩んでいる方が多いので、事前に対処の仕方と発生させない方法を把握しておかなければなりません。

そこで、本記事では、水耕栽培におけるコバエの適切な対処・予防法を解説します。

  1. 水耕栽培とコバエの関係性をチェック!
  2. 水耕栽培でのコバエの対処の仕方は?
  3. 水耕栽培でのコバエを発生させない方法は?
  4. 水耕栽培のコバエに関してよくある質問

この記事を読むことで、コバエの対処法と予防法、ポイントが分かります。水耕栽培にチャレンジする方などはぜひ参考にしてください。

1.水耕栽培とコバエの関係性をチェック!

水耕栽培の夏場によくあるトラブルといえば「コバエ被害」です。なぜコバエが発生してしまうのでしょうか。水耕栽培の特徴を押さえた上で、発生原因を明らかにしていきましょう。

1-1.まずは水耕栽培の特徴を知ろう!

水耕栽培は一切土を使用せず、水と肥料だけで植物を育てる方法で、庭や畑がなくても始められます。必要なものは、野菜の種(または苗)と栽培容器・種と苗を支えるための土台・水耕栽培用の肥料などです。根の部分を肥料が入った水に浸しておくだけなので、手軽に栽培を始めることができます。また、土を使わないからこそ室内が汚れず、清潔な状態のまま栽培ができると好評です。

1-2.コバエが発生する原因、環境は?

コバエは植物の土と水の溜まった受け皿から発生するのがほとんどです。水耕栽培の場合は、常に水が溜(た)まっている状態となります。まさに水耕栽培の環境自体がコバエを発生させる要因になっているのです。
また、腐敗した植物や生ゴミなどを放置していると、腐敗臭にコバエが引き寄せられます。水耕栽培はキッチンなど空(あ)いている小スペースで育てることができますが、キッチンに生ゴミ等を放置しないようにしてください。さらに、水耕栽培で水をこまめに交換しなければ、根の部分が腐り環境が悪化します。コバエは環境が悪い場所で発生するので適切な環境の維持を心がけましょう。
ただし、正しい方法できちんと対策を施しておけば、コバエの発生を未然に防ぐことができます。

1-3.発生する時期、種類は?

コバエが発生する時期は、湿度と温度が高くなる6~9月にかけてです。しかし、真夏の8月は気温の急激な上昇によって、コバエの活動が弱まります。そして、涼しくなる9月ごろに再びコバエが活動し始めるのです。
水耕栽培におけるコバエの種類は、「キノコバエ」と「チョウバエ」と呼ばれる2種類となります。それぞれの特徴を以下にまとめてみました。

  • キノコバエ:体長は1~2mm程度で、土の中に卵を産む傾向がある
  • チョウバエ:水垢(みずあか)や汚れた水が発生源。体長は1~5mm程度で、水が溜まっている場所に卵を産む。水耕栽培で発生する種類はほとんどがチョウバエ
水と栄養があるとコバエが発生しやすくなるんですね。
はい。水耕栽培は栄養豊富な水を使うので、管理しだいではコバエが発生することがあります。

2.水耕栽培でのコバエの対処の仕方は?

では、水耕栽培でコバエが発生した場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

2-1.薬剤を使わない駆除方法

水耕栽培は薬剤を使わずに育てられる点が魅力でもあります。「コバエを駆除するために薬剤を使いたくない」という方は、「めんつゆ」を活用してください。コバエは味噌(みそ)やしょうゆなどの発酵臭が大好きです。そうめんやうどんなどを食べるときに使うめんつゆも香りが豊かなので、コバエを引き寄せることができます。
たとえば、コバエが大好きな水耕栽培の近くに、コップに入れためんつゆ(食器用洗剤を付け加える)を置いておけば、コバエが近寄り駆除できるでしょう。濃縮タイプの場合は、適量に水で薄めてください。ただし、めんつゆと洗剤の量が少なすぎると、コバエが卵を産んで逆に繁殖してしまいます。夏場は蒸発しやすくなるため、液量は3cmくらいにしてください。小さい子どもやペットがいる場合は、手の届かない場所に置くように注意しましょう。

2-2.コバエ駆除の薬剤を使う

どうしてもコバエが駆除できない場合は、コバエなどの害虫を駆除する薬剤を使いましょう。水耕栽培の場合は、水の中に薬剤を入れてはいけません。刺激が強すぎて、植物を傷めてしまうおそれがあるからです。薬剤を使う際は、スプレーでサッと葉や根の付近に吹きかけるなど、使用上の注意点や方法を必ず確認してから使ってくださいね。

2-3.コバエ駆除のグッズを使う

コバエ駆除によく使われるグッズを使用するのも方法の1つです。コバエが発生している近くに、コバエグッズを吊るしておきましょう。葉にコバエがついている場合は、容器を動かすと一気に飛び出てきます。すると、コバエが粘着タイプの駆除グッズに貼りつき、駆除できるでしょう。さまざまなグッズが販売されているのでぜひチェックしてみてください。

2-4.コバエを放置するのはNG

気をつけてほしいのは、コバエの発生を絶対に放置しないことです。コバエが飛んでいる環境は、私生活にも悪影響をおよぼしかねません。常にコバエが飛んでいる環境では嫌な気持ちになるでしょう。そのため、早めの駆除が必要です。

2-5.自分で駆除しても湧いてくる場合は?

殺虫スプレー等を使用して駆除してもどんどん湧いてくる場合は、コバエの成虫が掃除の手の届かない場所に潜んでいる可能性があります。その場合は駆除が難しいので、専門業者に相談してください。コバエなど害虫を駆除する専門業者なら、成虫の居場所を突き止め、特殊な液剤などで駆除します。ただし、専門業者に依頼する際は、駆除方法と料金を細部まで確認するのが大切です。中には、高額な費用を請求するところもあるので注意してくださいね。

薬剤やグッズを使えばコバエ対策が効率的にできそうですね。
はい。また、こまめに対策を取ることが大切です。

3.水耕栽培でのコバエを発生させない方法は?

では、コバエを発生させないためにはどのような工夫をすべきなのでしょうか。ここでは、水耕栽培におけるコバエ対策について解説します。

3-1.生ゴミを放置しない

コバエは生ゴミのにおいに引き寄せられて増える傾向があるため、水耕栽培の周囲を清潔に保ち続けるだけでも立派な駆除となります。たとえば、近くに生ゴミを置かない、生ゴミをすぐに除去するなどちょっとした工夫が大切です。

3-2.水をこまめに交換する

土で育てる場合の駆除方法は、受け皿に常に水を溜めないことですが、水耕栽培は水が命をつなぐ要素となります。そのため、水耕栽培の場合は、できるだけ毎日水を新しく取り替えてください。特に、夏場は蒸発しやすく、すぐに汚くなりがちです。コバエは汚い水を好む傾向があるため、毎日取り換えてキレイな水にすれば駆除につながるでしょう。さらに、植物の育生環境もより良くなります。

3-3.木酢液を散布する

コバエ対策として「木酢液」を使うのも方法の1つです。木酢液とは、木炭や竹炭を焼くときに出る水蒸気や煙を冷やし液体にしたものを指しています。かつては、酢酸やアルコールを製造するために作られていた液体で、殺菌や菌の生長を抑える効果が期待できるのです。コバエを含めた害虫対策として用いられることが増えています。
使い方は、原液のままでは効果が強すぎるため、薄めた木酢液を葉や株の根元に注ぐのが基本です。水耕栽培の場合は、スプレー水にして葉や茎の部分に吹きかけることになるでしょう。

3-4.腐った植物、根を速やかに取りのぞく

コバエの発生原因で説明したとおり、腐った植物や根がコバエを引き寄せるので、腐敗傾向のある植物等は速やかに取りのぞいてください。腐敗している部分だけアルコールで消毒した選定バサミでカットするのも良いですが、ほかの部分に細菌が移っている可能性があります。そのため、腐敗状況が悪化している場合は、すべて取りのぞいたほうが良いでしょう。水耕栽培の容器にも細菌が入っている可能性があるため、容器もすべてキレイに掃除してください。

3-5.コバエが発生しやすい時期は要チェック!

水耕栽培は害虫被害が少ないといわれていますが、いつどこでどんな害虫被害に遭うのか分かりません。コバエもいつの間にか発生していたというケースがよくあります。未然に防ぐためにも、常に植物の状態をチェックすることが大切です。コバエが発生しやすい6~9月の間は、きちんと植物の状態を管理しチェックしておきましょう。

3-6.温度調節に注意する

水耕栽培に適している温度は、15〜25℃前後といわれています。この温度の範囲から大きく離れてしまうと、コバエの発生だけでなく、植物が順調に育たなくなるので注意してください。特に、1日の間で温度変化が大きく変化する場合は、温度調節に気をつけましょう。自分での温度管理が難しい場合は、水耕栽培の専用キットを活用するのも選択肢の1つです。

コバエ対策には、栽培地の周りを清潔に保つことが大切なんですね。
はい。取れてしまった葉っぱや根っこは速やかに処分してください。

4.水耕栽培でのコバエに関してよくある質問

水耕栽培でのコバエに関してよくある質問を6つピックアップしてみました。

Q.コバエ以外で被害に遭いやすい害虫が知りたい
水耕栽培における害虫は、決してコバエだけではありません。特に気をつけておきたいのが、アブラムシやコナジラミなどです。特に、アブラムシはトマトのように長期間栽培する野菜に多く発生しがちで、葉が弱まってしまいます。また、コナジラミもアブラムシと一緒に発生することが多く、ウイルス病などの病害を引き起こす要因です。どちらとも植物の育生に悪い影響を与えてしまうので注意してくださいね。

Qお酢で対策ができるのは本当か?
木酢液にも効果があるように、家庭にあるお酢でもコバエ対策になるのは本当です。お酢と水を混ぜ合わせたものをスプレー容器に入れ、植物の葉全体に振りかけてください。また、お酢には殺菌作用があるため、害虫だけでなく病害対策にもつながるでしょう。薬剤よりも普段、私たちが口にするお酢を使えば、野菜の安全面も守られるはずです。

Q.どんな薬剤を使えば良いのか?
園芸店やホームセンターなどには、さまざまな薬剤が販売されています。どの薬剤を使用すれば良いのか分からないときは、野菜用の薬剤を選んでください。育てている野菜に合わせた薬剤を選ぶことで、より効果が期待できるでしょう。できるだけ効果が強すぎないものを選ぶのも大切なポイントです。使用量と使用方法をしっかりと確認してから使ってくださいね。

Q.木酢液の選び方は?
木酢液はさまざまな種類が発売されていますが、原材料によって成分が異なるので注意してくださいね。木酢液を選ぶ際は、品質表示欄をチェックしpHが3前後のもので透明度が高いタイプを選びましょう。色合いとしては、紅茶の色に近い感じです。逆に、粘り気が強く、浮遊物や沈殿物があるものは質が悪い証拠なのでおすすめしません。

Q.コバエ対策となる水耕栽培に適した環境とは?
水耕栽培は風通しが良く、ほど良い日が当たる環境が好ましいとされています。特に、コバエ対策は「風通し」がポイントです。植物が成長し葉が混み合うようになると、株と根の風通しが悪くなり十分な酸素が確保できなくなります。害虫が発生するだけでなく、育成にも悪い条件となるので注意してくださいね。

Q.水耕栽培やコバエ対策の相談先は?
園芸店やホームセンターの店員に尋ねるのも良いですが、水耕栽培に詳しい人のほうが的確なアドバイスを得ることができます。「水耕栽培どっとネット」では、水耕栽培に関する相談を受けつけているので、ぜひ1度ご相談ください。また、初心者でもすぐに始められる家庭菜園キットも販売しています。

まとめ

水と液肥で栽培する「水耕栽培」は、夏になるとコバエ問題が深刻になります。常に、根の部分を養液に浸しておかなければならないため、きちんと対策をしておかなければコバエが湧き出てくるでしょう。コバエ対策として、薬剤を使用したり木酢液を入れたりする方法があります。もし、コバエが発生したときは、速やかに駆除してください。放置するほどコバエがたくさん湧き出てくるので要注意です。事前に防止するためにも、コバエ対策をマスターしてくださいね。


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