栽培関連コラム

Coco栽培が人気の理由

現在、世界中で水耕栽培への関心が高まっています。理由としては、土を使わないので屋内で清潔に栽培できる、適度な養分が入った液体肥料を与えることですくすくと育つなど様々です。

水耕栽培というのは、養液栽培の一種であり、固形培地を必要としないもののことを指します。しかし近年、収穫物の味や香りが他の手法と比較して良いとの定評があり、多くのグローワーが使用している栽培方法にCoco栽培というものがあります。Coco栽培とは、その名の通りココナッツのヤシガラから作られた培地を用いて栽培する方法です。


特徴

Coco培地とは何?」という方もいると思います。まず初めにCoco培地について簡単に説明したいと思います。Coco培地はココヤシの繊維を細かく砕き、塩分を除去したものです。見た目は土のようですが、原材料はココヤシですので触った感触も柔らかく、土に比べ空気を多く含むことができます。この「空気を多く含む」というのが重要で、根圏に酸素を多く供給することで、根はすくすくと育つことができるのです。 

養液栽培で固形培地を使用する培地といえば他にロックウールが有名です。ロックウールは保水性が高く通気性もよく、養液栽培には最も適している培地の一つです。原材料はスラグや岩石、石灰石で、それらを高温で溶かして、繊維化したものです。

Coco培地はこのロックウールよりも保肥性に優れているといわれています。更に空気を多く含み繊維には水分、養分が絡むので根への酸素補給も効率よく行き届きます。空気が入ることにより培地内に空間ができるため根が伸びやすくなり植物の生育スピードも格段に上がります。

なぜ香りや味がよく育つのか?

ではなぜ、Coco培地を使用すると水耕栽培よりも香りや味がよく育つのか?これに関して明確な理由はまだわからないのが現状です。ただ、一ついえるのが、Coco栽培は土耕栽培と水耕栽培のいいとこ取りだと言うことです。

【土の良いところ】

土の良いところは、良い土であれば肥料成分以外にもミネラルや微量要素が多く含まれていること。そして、水を上げてから次の水やりまでに、土が湿ったり、乾いたりを繰り返すことです。根は土が乾いてくると水分を求めて、グングンと根を伸ばしていきます。根が成長することにより、より多くの養分を茎、葉、花、実に運び込むことができ成長を促進させます。また、土が乾くことにより、植物には一定のストレスが与えられ、そのストレスにより果実などはより甘みを増すと言われています。よく、トマト栽培などでも、収穫前に水やりを最小限にすることで、糖度を増やすという手法があるほどです。

【水耕栽培の良いところ】

水耕栽培の良いところはなんと言っても豊富な種類のある肥料やサプリメントです。常に適切な濃度の肥料とサプリメントを与えることで、植物の栽培ステージに併せて最適な養分をリアルタイムで与える事ができます。また、開花期や結実期になれば、不要な窒素成分を少なくし、必要なリン酸やカリウムをたくさん与えることにより、より大きな花や実を作り上げる事が容易にできるのです。 

【Coco栽培のメリット】

Coco栽培の場合は、この両方の良いところが備わっています。Coco培地は肥料成分を含んでおりませんので、水耕栽培と同じく養液栽培用の肥料を与えます。最近ではCoco栽培専用の肥料も多く販売されています。植物の栽培ステージに合わせて適切な養分を与える。そして、培地に水分が豊富にある期間と、乾く期間を繰り返すことにより、根を成長させ、ストレスを与えることで、植物は丈夫になり花や実は香りを増すことができるのです。オイルを作り出すような植物の場合は、エッセンシャルオイルなどの含有量も上がると言われています。


注意点

そんなココ栽培での注意点がいくつかあります。保水性、保肥性に優れたココ培地だからこそ水と肥料の上げ過ぎには注意が必要です。繊維からなるココ培地は、大量の水分を含むことができます。培地容積の10倍ほどの水分を含むことができるので水分過多になる恐れがあります。水分過多になると培地に含まれていた空気量が減り、根腐れを起こしやすくなってしまいます。

では、どのような頻度で水分を与えればいいのか?

栽培を始めてから20日前後までは1日に1回の水やりで十分だといわれています。場合によっては数日に1回という場合もあります。これは使用しているポットの大きさにより、水分を含んだCoco培地の量も異なってくるからです。使用しているポットが大きい場合は、数日に1回の水やりで良い場合があります。

20日が経過して、植物が大きくなり、多くの水分を吸い上げるようになったら、状態を観察しつつ1日に12回の水やりを行いましょう。

そして、保肥性も高いので毎回培養液を与えずに2回に1回もしくは3回に1回培養液を与える程度で十分な場合もあります。もしくは、培養液を与える前に一度水だけを与え、Coco培地に蓄積された肥料分を一度流してから、新しい培養液を与える場合もあります。植物によって異なりますので、ご自身の栽培している植物を観察しながら、適度な水やり方法を模索してください。

Coco栽培をより効率的に

ココ培地の空気量や通気性をさらに増やすために、黒曜石のパーライトを混ぜて使うのもおすすめです。パーライトはガラス室の火山岩を高温加熱し急激に蒸発させて作られたものです。水分が蒸発して気体になったことから多孔質の構造になっています。透水性、みずはけに優れているため、水はけが悪いときに土壌改良材として使われています。


そしてHOUSE&GARDEN社製の酵素系サプリメントを使うと効果的です。

例えばMULTI ZYME(マルチザイム)を使用することによって培地内の古い根を溶かし、より新しく強い根を残すことができます。そうすることによって、古い根が養分の吸収を邪魔することなく根が活発になっていき生育もより速くなります。


デメリット

良い部分を紹介してきましたがココ栽培にデメリットはないのか?なんて思う方もいますよね?

注意点で水の与え過ぎに注意と言いましたが、水やりの適切なタイミングは、培地を実際に触って確かめるというのが一般的ですので、その感覚を養うまでにに少し時間がかかるかと思います。

また、室内栽培ではありますが、Coco培地は有機物であるため、通常の水耕栽培に比べ虫対策が必要になります。特に小バエ対策が必要になってきますので、小バエを発生しにくくするために、換気をよく行い、ジメジメした空間を避けるように栽培室づくりをしてください。 

当店では、いくつかのメーカーのCoco培地を取り揃えております。商品詳細をご覧になり、お気に入りのCoco培地を見つけてください。

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まとめ

Coco栽培は、養液栽培では難しいとされているトマトやイチゴの栽培が比較的容易にできることや、冒頭で述べたとおり収穫物の味や香りが他と比較して良くなるということが人気の要因かと思います。

この機会に是非、今人気のココ栽培を試してみてはいかがでしょうか?