養液栽培のメリット・デメリットについて知りたい! 養液栽培の基礎知識

養液栽培という方法をご存知でしょうか? 近年注目されている栽培方法であり、企業などが取り入れ始めています。養液栽培について気になっている人は要チェックです。

これから、養液栽培とはどのような方法なのか、メリット・デメリット、養液栽培に必要なもの、育てられる植物について詳しく説明します。養液栽培を行う前にある程度の知識を身につけましょう。

  1. 養液栽培とは?
  2. 養液栽培のメリット・デメリット
  3. 育てられる植物と注意点について

1.養液栽培とは?

養液栽培とはどのような栽培方法なのでしょうか。養液栽培の方法や特徴、必要なものについて説明します。気になっている人はぜひチェックしてくださいね。

1-1.土を使わない栽培方法

養液栽培を簡単に説明すると「土を使わない栽培方法」です。一般的に植物や野菜を育てる時は土を使いますが、養液栽培ではまったく使いません。土の代わりに培養液と呼ばれる肥料を溶かした液を使います。育てたい野菜・植物を培養液につけながら育てることになるでしょう。養液栽培にもさまざまな方法があり、主に「水耕」「固形培地耕」「噴霧耕」の3種類にわけられます。

水耕は培養液の中や表面で育ち、固形培地耕はさまざまな培地に定植し、噴霧耕は根を中心に培養液を霧状に噴霧する方法です。それぞれ特徴があり、育てる植物も異なるので注意してくださいね。

また、必要なものも方法によって変わるので要注意です。土を使わない養液方法もさまざまな方法があることを頭に入れてください。時と場合によって適切な方法が選べますよ。

1-2.2つの方法がある培養液の与え方

養液栽培には「培養液」が欠かせません。培養液を植物に与えることで元気に育てられますその培養液を与える方法にも2つの種類があるので説明しましょう。

まず1つ目の方法は「循環式」です。循環式とは、培養液が入っているタンクと植物が育てられるベッドを循環します。

しかし、「非循環式」は循環せずにベッドに培養液を流し、植物に吸収されなかった培養液はそのまま廃棄されるのです。つまり「かけ流し式」になります。どのような方法で培養液を与えるのかは企業によってさまざまですが、植物の特徴をみながら選択しなければなりません。

循環式は病害が侵入すると拡大しやすいデメリットがあり、非循環式は養液をかけ流しにするのでコスト面での問題が挙がっています。それぞれのメリット・デメリットを把握し判断してくださいね。

1-3.養液栽培に必要なもの

養液栽培に必要なものは方法によってさまざまです。例えば水耕栽培において必要なものは、栽培ベッド、給液ポンプ、給排水管、培養液タンクの4点が必要になるでしょう。固形培地耕方法では、先ほどの4点セットに加え点滴ノズル、培地が必要になります。どのような養液栽培方法にするのかによって必要なものが異なるので必ず確認してください。

また、自宅で簡単に養液栽培をしたい場合は「水耕キット」がオススメです。マンションでも気軽に水耕栽培ができるセットが販売されています。コンパクトなサイズから大きいものまでさまざまな水耕キットがあるのでぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

土を使わなくても植物が栽培できるんですね。
はい。別名を水耕栽培とも言います。クロッカスやヒヤシンスなどは養液栽培が一般的ですね。

2.養液栽培のメリット・デメリット

2-1.養液栽培のメリットについて

養液栽培のメリットといえば“土を使わないこと”です。土を使わないので手が汚れないことはもちろん、土壌病害・連作障害が避けられます。土を使う土壌病害や連作障害が起こりやすいのですが、土を使わない養液栽培はそのようなトラブルを起こす心配はないので安心して栽培できるのではないでしょうか。

また、土寄せ、放肥、除草、耕起など必要な作業も割愛できます。よって、必要最低限の人員で栽培ができ、全体的なコストカットにつながるでしょう。そのようなメリットもあるため、さまざまな企業が養液栽培にチェンジしているのです。給液管理が向上すればするほど大規模での養液栽培が可能になり、さらに溶液の効率化が期待できます。

2-2.養液栽培のデメリットについて

養液栽培のメリットばかりに目を向けてしまいがちですが、デメリットもしっかりチェックしなければなりません。養液栽培のデメリットは主に“初期費用が高い”ことです。養液栽培に必要な機械や設備を用意し、設置しなければ栽培できないのでどうしても初期費用がかかってしまいます。

できるだけ初期費用を抑えようとする人もいますが、抑えてしまうと十分な設備が整わず、逆に栽培が困難になるでしょう。きちんと養液栽培ができる環境を整えてあげなければ植物を上手に育てていくことはできません。初期費用が高くつくので、費用面が十分に確保できない個人生産者では大規模な養液栽培を行えないでしょう。

そのため、最初は小規模から始め、徐々に慣れていきながら効率化を目指し、規模を大きくする企業がよくみられます。

土を使わないと、家の中で植物を栽培するのが簡単になりますね。
はい。初期費用はかかりますが、繰り返し植物を育てれば元を取ることもできます。

3.育てられる植物と注意点について

3-1.主に育てられる植物は葉野菜

養液栽培で育てられる植物はどのようなものなのか、気になっている人も多いでしょう。主に育てられる植物は「葉野菜」です。レタス、ルッコラ、ハーブ系、アイスプラント、グリーンウェーブ、マザーグリーン、マザーレッド、エンダイブ、イタリアンパセリなどさまざまな葉野菜が育てられるでしょう。おしゃれなカフェのランチでもハーブ系がよく使われていますよね。自宅でも簡単に葉野菜がつくれるように水耕キットを購入し、育てる人が年々増えているようです。

自宅だけでなく、さまざまな企業も葉野菜を中心に養液栽培を導入しています。逆に、大根やじゃがいも、ごぼう等の根菜類は養液栽培で育てられないので注意してください。根菜類は土の中で実が育つため、養液のみで育てる方法には向かないのです。

3-2.養液栽培で欠かせない6つの要素

養液栽培は土を使わない分、さまざまなところに注意して管理していかなければなりません。もっとも大切だと言われる「6つの要素」があります。それは「肥料」「光」「二酸化炭素」「酸素」「水」「環境温度」です。養液栽培は肥料を水に溶かして植物に与えるでしょう。肥料が多すぎれば「水」を利用して調節します。よって、肥料をどのくらい水に溶かすのか適切な量をしっかり把握しなければなりません。

植物を育てるために必要な「光」「二酸化炭素」も注目してください。植物は光合成をしながら成長します。養液栽培はビニールハウスや施設の中で育てられるため、ほとんどがLEDや蛍光灯が光源になるでしょう。光合成をするために必要な比率の設定が大切です。

また、根の成長には「酸素」も欠かせないので養液の中に酸素を注入する必要もあります。そして「環境保温」も大切な要素のひとつです。日本は四季があるため、季節ごとに最適な気温を維持し続けなければ育てられないでしょう。植物の状態によっても最適な気温があるので注意してください。

このように「6つの要素」がとくに大切なポイントになります。養液栽培を行う前に必ず確認しましょうね。

葉物野菜を育てるのがおすすめなんですね。
はい。葉物野菜は育ちが早く、管理も比較的簡単です。また、クロッカスやヒヤシンスといった花も育てやすいでしょう。

まとめ

養液栽培の方法やメリット・デメリット、注意点について説明しましたがいかがでしたでしょうか。初期費用はかかりますが、効率化に成功すれば大規模な養液栽培が可能になります。きちんと正しい知識を身につけ、養液栽培を行いましょう。

  • 土を使わない栽培方法
  • 循環式と非循環式
  • 養液栽培に必要なものは方法によって異なる
  • 土壌病害や連作障害がない
  • 初期費用が高い
  • 主に育てられる植物は「葉野菜」
  • 根菜類は不向き
  • 養液栽培に欠かせない6つの要素

以上のポイントは必ず押さえておきたいものです。自宅でも簡単に養液栽培ができる「水耕キット」が販売されているのでぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。


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