新しい農業の形!! 植物工場の現状と将来とは?

『農業に必要なのは豊かな土と太陽と水』
これが長年の常識でした。
しかし、今全国各地で稼働している植物工場は、水さえあれば土も太陽も必要ありません。
それはいったいなぜでしょうか?
今回は植物工場の現状と将来についてご説明しましょう。
企業の参入次第では農業の形が大きく変わるかもしれないという反面、まだまだ課題も多いのです。
「水耕栽培に興味がある」という方や「将来は農業をやってみたい」という方はぜひ読んでみてくださいね。

1. 植物工場って何?

太陽も土も必要としない野菜栽培

植物工場とは、大規模な水耕栽培施設のことをいいます。
まるでオフィスビルのような建物の中で、LED照明と専用の溶液によって計画的に野菜を栽培しているのです。
その様子がまるで工場のようだということで植物工場、野菜工場とも言われています。

気象や環境に左右されないメリット

「土も太陽も使わない作物栽培なんて不自然で変な感じ」と思われる方もいるでしょう。
しかし、植物工場で野菜を栽培することはこのようななメリットがあるのです。

  1. 気象の影響を受けない。
  2. 農業向きでない環境の場所でも農業ができる。
  3. 栽培期間の短縮。

現在の農業では、悪天候などが続くと農作物に大きなダメージがあり、生産者と消費者の両方にデメリットが生まれます。
1年中安定して農作物が収穫できるということは農家の悲願でもあるのです。

完全無農薬栽培の実現

現在の農業は、きれいで形の良い野菜を作るために農薬が欠かせません。
しかし、農薬は有害な物質でありますから、それを散布する農家の方の体にも悪影響を与えます。
使わなればならないけれどできれば使いたくない…植物工場ならほぼ農薬を使わずに植物を育てることが可能です。
虫も病原菌も入り込めない完全に密封されたクリーンな空間を作ることができるからこそ、実現できたと言えるでしょう。

2 現在活躍している植物工場とは?

百か所以上の工場

2014年の3月現在で、全国では300か所以上の植物工場が稼働しています。
思っている以上に多くてびっくりされている方もいるでしょう。
その中でも特に注目を集めているのが東北大震災で被害を受けた地域に建設された植物工場です。

復興の足掛かりにも

東日本大震災は、地震よりもその後に起こった津波で大きな被害が出ました。
塩水をかぶってしまった農地を元に戻すには時間とお金と手間がかかります。
それを恐れて農業をやめてしまう人が続出すると、日本の農業は大きな痛手を受けていたでしょう。
在宮城県多賀城市には、日本最大の植物工場が建設され1日1万株ものレタスが栽培され、全国に出荷されているそうです。

飲食店でも水耕栽培

植物工場で行われている栽培方法は水耕栽培といい、土の代わりに栄養分を溶かした溶液で植物を育てる方法です。
土を使うよりも清潔で場所を選ばずに栽培できるので、飲食店が自分で使う野菜を栽培することもできます。
現在、東京と大阪で店舗で栽培している野菜を使った料理を提供する飲食店も出てきているのです。

3. 植物工場が描く日本の農業の未来

政府も本格的に開発を援助

2009年、農林水産省と経済産業省は植物工場の建設に総額150億円の補助金を出しました。
これにより、全国各地に植物工場の建設ラッシュが起こったのです。
現在は前述したように主に東日本大震災の被災地で新しい植物工場を建設する動きが盛んです。
そのほか、農作業の担い手がいなくなってしまった場所にも雇用を作るために植物工場が建設されることもあります。

参入する企業

従来の農業では新たに個人や企業が参加するのはなかなか難しく、農家の高齢化と後継者不足が問題になっていました。
しかし、植物工場ならば場所を選ばずに建物を建てられるるわけですから、バイオ企業だけでなく建設業や光学機械メーカーなど異業種からの農業参入が増えてきているのです。
また、東芝などの大きな工場を持つメーカーは、生産拠点を海外に移した後、残った工場を取り壊すことなく植物工場に改装することで雇用を守っているという例もあります。

大都会で農業ができる

植物工場はビルのような建物の中で農作物を育てます。
今は郊外で育てた作物をトラックなどで都会に持ってきていますが、将来的には東京や大阪など都市の真ん中で育てた野菜が輸送コストをかけることなく安価でスーパーなどに並ぶかもしれません。

4 これからの課題

まだまだ下げたい栽培コスト

植物工場の欠点は生産コストがかかるということでした。
現在は導入コストや栽培コストが技術の進歩により随分と安くなりましたが、それでも土壌栽培よりもかかっているのが現実です。
現在より3割~4割コストを下げればもっと多くの植物工場が全国に建てられることになるでしょう。

栽培できる食物を増やしたい

現在、植物工場で作られているのはレタスやキャベツなどの葉物野菜が中心です。
トマトやナスなどの身がなる食物や果物、そして大根やジャガイモといった根菜類はまだまだ栽培が難しく、植物工場で大量生産できるまでにはなっていません。そして、植物工場でもっとも栽培が望まれているのが、日本人の主食であるお米です。
米や麦・根菜類などが植物工場で栽培可能になったとき、植物工場は大きな飛躍を遂げることでしょう。

注目される有機人工土壌

前述した水耕栽培では栽培が難しい根菜類や実のなる野菜・果物、そして米を栽培するのに適しているのではないか、と注目されているのが有機人工土壌です。
これは保水力や肥料のもちがよく、天然の土の10分の1の軽さという人口の土を使って作物を栽培する方法で、植物工場での使用も可能です。
現在は色々な企業がこの有機人工土壌の開発に参入してきていますので、近い将来水耕栽培だけでなく、土壌栽培の植物工場もできるかもしれません。

空き室、空きビルの有効活用

植物工場は新しく建物を建てて行うだけではありません。
現在都会に増えている空き室や空きビルを植物工場に転用できないかという動きが活発になっています。
これが実現すれば、現在はトランクルームなどに転用されている借り手のないアパートやビルがすべて植物工場になるかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は植物工場の現状と将来についてご紹介しました。
まとめると

  • 植物工場は現在全国に300か所以上
  • 被災地復興の役に立ってもいる
  • 農業の常識を覆すかもしれない
  • 栽培できる植物に限りがあるなどの課題も多い

ということです。
『農業は水と土と太陽が必要』という常識がもしかしたら数十年後には古い考えとなっているかもしれません。
昔ながらの農法のほうが人間味があって好きだという方ももちろんいるでしょう。
しかし、新しい技術で解消される問題もたくさんあるのです。
また、いままで農業に参入したくてもできなかった新しい人材や企業が農業に参加するきっかけになるかもしれません。
今、各地では植物工場の見学会が開かれたり、そこで働く人々を募集していたりします。
興味がある方はぜひ参加をしてみたり、相談してみたりしてみてはどうでしょうか?
従来の方法とは違っても、これも立派な農業なのです。
就職の幅を広げるという意味でも、植物工場の発展が望まれますね。


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